ME CFS

ご挨拶

筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群(ME/CFS)は、これまで健康で充ち足りた生活を送って来た若年成人が、感染などをきっかけにして突然に発症し、高度の消耗や睡眠障害のために”寝たきり状態”になる、あるいは“まともな社会生活が送れない状態”に陥る難病です。しかし一般的な血液検査や画像検査では異常がつかまらず、ガイドラインに記載できるような確立した治療法もありません。その結果、多くの患者さんやご家族はきわめて厳しい状況に置かれています。

しかし先端的研究で免疫や中枢神経系の客観的な異常が確認され、ようやく神経・免疫疾患(神経炎症疾患)としての理解が進んできました。また、病態の全貌は明らかになっていないものの、病状を軽減する対症的治療に熱意を持つ医師の活動や、根本的な治療薬開発に向けた動きが活性化しています。

ME/CFSのような難病を克服するためには、1)客観的診断法の確立、2)病態理解に基づくケアの実践、3)病態を矯正する新薬開発 が重要であると考えています。このためには、基礎的な研究を進めることが大切ですが、それと平行して、この病気の問題を理解してくださる医師・医療関係者、診療を実践していただける医療機関を増やし、患者さんが医療を受けやすい環境を整備することが大切です。実は、関節リウマチなどの免疫難病では、さまざまな新薬の治験が成功をおさめ、医療環境が大幅に改善しています。ME/CFSでも治験を実施する機会がほどなく到来すると思われますが、そのためにはME/CFS専門医のネットワークを構築しておく必要があります。そういう背景があって、私たちは「ME/CFSの診療ネットワークの構築」を目指した研究活動を開始しました。このホームページでは、ME/CFSの克服に熱意を持つ医師・専門家間の情報交換を目指すとともに、患者さんへの情報発信も行いたいと思います。

他の難病でも経験してきたことですが、画期的な新薬がない状態であっても、ちょっとした工夫や“親切な手助け”、“ケア”によって、患者さんの病状は格段に良くなることがあります。科学はもちろん大切ですが、それだけでなく医療の原点を忘れないことをモットーにして、研究班の活動を進めたいと思います。皆さまのご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。

2018月12月
ME/CFS研究開発代表者 山村 隆

お知らせ

2020.08.13 「ME/CFS研究班の紹介」ページの研究報告書を更新しました。
2020.07.03 論文発表について「ME/CFS研究班の紹介」ページに紹介しました。
2020.06.12 「医療関係者・研究者の方へ」に「臨床医のための手引書 2014年版」を掲載しました。
2020.02.01 「患者・ご家族の方へ」「医療関係者・研究者の方へ」ページを公開しました。
2019.12.26 研究者一覧、研究報告書を更新しました。
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